南側が日陰になる土地の家は?メリットとデメリットとは
家を建てるときにはさまざまな条件を比較しながら決めていく必要があります。間取りや内装も重要ですが、住むにあたって日当たりが良いかどうかもポイントとなりますよね。そのため日当たりが悪いイメージのある北向きの家はやめた方が良いということを聞いたことがあるかもしれませんが、実際にはどうなのでしょう。北向きの家のメリットとデメリット、北向きの家が適しているケースについてご紹介します。
◼ 北向きの家とは
北向きの家と聞くと「日当たりが悪いのでは…」と思う人も多いかもしれません。日本では、家の南側が道路に面している南向きの家の人気が高いですが、北側が道路に面している北向きの家は住みにくいのでしょうか。そもそも家などの建物は、2m以上が道路に面さなければならないと建築基準法で定められています。
◼ 北向きの家のメリット
北向きの家は日当たりが悪いイメージがあるかもしれませんが、北向きならではのメリットもあります。
・建築基準が緩やか
家を建てる際には、建築基準法で定められたいくつかの規制を守る必要があります。「斜線制限」のうち「道路斜線制限」と「北側斜線制限」という規制では、家が面している道路の向きによって基準が変わってきます。道路斜線制限は、道路に面した部分の高さを制限することで、道路や周りの建物の日当たりや風通しを確保するためのものであり、北側斜線制限は北側の土地の日当たりを確保するためのもの。北向きの家では、道路斜線制限と北側斜線制限を受けるのがどちらも北側になるため、南向きや東向き、西向きの家よりも斜線制限の影響を受けにくいことになります。
・プライバシーが守られやすい
南向きの家では、日当たりの良い南側にリビングを設けることが多いと思いますが、道路からリビングが見えやすい状態になってしまいます。その一方で北向きの家では、南側が道路に面していないため、日当たりの良い南側にリビングを設けた場合に道路からの視線を遮ることができます。リビングだけではなく、洗濯物を干すベランダや庭も南側に設けることが多いはずなので、道路に面していない位置に設けられる点においてプライバシーが守られやすいといえます
・土地が比較的安い
一般的に北向きの土地よりも南向きの土地の方が人気があります。そのため同じ条件の南向きの土地と比べて、北向きの土地の方が安い価格で手に入れることができます。他に妥協できない条件があって、家の向きは北向きでも構わないという場合、土地をお得に手に入れられるのがメリット。同じ価格でも条件が良くなったり、同じ条件でも価格が安くなったりするため、他の部分にお金をかけることができます。
・夏のエアコン代を節約できる
リビングは家族が一番長い時間過ごす場所だという家が多いと思いますが、南向きの家では夏場にずっとエアコンをつけておくことになりますよね。しかし北向きの家では南向きの家と比べて日が当たらない時間が長いため、夏場にエアコン台を節約することができます。光熱費が気になる人、夏でもできるだけエアコンを付けたくないという人は北向きの家を検討してみても良いかもしれません。
◼ 北向きの家のデメリット
案外メリットがたくさんあることが分かった北向きの家ですが、もちろんデメリットも存在します。デメリットが気になるかどうかで、北向きの家を選んでも後悔しないかどうかがある程度わかることでしょう。
・日当たりが悪い
北向きの家のデメリットは、何といっても日当たりが悪いこと。北向きの家では、日中に日が当たらない時間が長く、1階は特に暗くなりやすい傾向にあります。北向きの家でも明るくしたいという場合は、リビングを2階に設けたり、吹き抜けにしたりと光を取り込みやすい工夫をするようにしましょう。
・湿気対策が必要
北向きの家では日当たりが悪い分、湿気がこもりやすいことも。冬場に暖房が効きにくい場合は、結露やカビが発生してしまう可能性もあるため注意が必要です。湿気がこもりやすいことは仕方ないですが、結露やカビを防ぐためにしっかりと換気を行ったり結露防止のフィルムを貼ったりと工夫することが大切です。関連して洗濯物が乾きにくいこともデメリットとしてあげられます。南側に日当たりのよい洗濯物を干すスペースがあれ問題ありませんが、スペースを取るのが難しいケースもありますよね。日当たりが良い家では室内干しでも問題ありませんが、湿気がこもりやすい家では室内干しだとなかなか乾きません。毎日の家事の負担が重くなってしまっては、快適な生活を送れなくなってしまうため、慎重に選ぶようにしましょう。
・冬場に寒さを感じる
南向きの家では、夏場に強い日差しが入ってくるためなかなかエアコンが効かないこともあるようですが、北向きの家では夏場はそこまで苦労することがありません。その代わりに冬場に寒さを感じてしまいやすいのがデメリット。光を取り込みやすいように窓を大きくしてしまうと、冬の寒さを感じやすくなってしまうため注意が必要です。
◼ 北向きの家が適しているケース
北向きの家のメリットとデメリットをご紹介してきましたが、人によっては北向きの家でも問題がない、または北向きの家の方が向いているということも。安易に選んでしまって後悔することのないようにしましょう。
・日中あまり家にいない
日中あまり家にいることのない家族にとっては、日当たりの悪さが気にならないことも。例えば共働きの夫婦や、お子様が大きくて日中は仕事と学校で出払っているという家族、休日もほとんど出掛けているという家族など。小さいお子様がいて日中は家で過ごしている、在宅勤務が多い、といった場合は日当たりの悪さが気になるかもしれませんが、日中あまり家にいない家族は北向きの家を検討してみても良いかもしれません。
・室内での作業が多い
作業の内容にもよりますが、室内での作業時間が長い人の中にも北向きの家が適している場合があります。日中、急に太陽光が強くなったり翳ったりすることがないため、安定して室内での作業を行うことができます。日当たりが悪いことが気にならないという人もいれば、家での作業中は自然光よりも蛍光灯や電球の方が良いという人もいるはず。実際に家で作業をしているときに光に注目してみた上で判断すると良いでしょう。
・家具にこだわっている
家具にこだわっている人も、北向きの家が適しています。インテリアにこだわりのある人やお気に入りの家具がある人は、直射日光が気になってしまうことも。北向きの家では、直射日光を浴びることが少ないため、家具の劣化が少なくて済みます。
◼ まとめ
北向きの家は日当たりが悪いイメージがある人も多いと思いますが、実際住むにあたってどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。北向きの家では、日当たりが悪いことや湿気がこもりやすいといったデメリットがある一方で、建築基準法の制限が緩く比較的安い価格で土地を購入できるのがメリット。日中あまり家にいない人や日当たりが気にならない人、むしろ直射日光を避けたいという人にとっては北向きの家の方が良いと感じることもあるはず。「北向きの家は日当たりが悪いから…」と先入観を持ちながら土地探しをするのではなく、メリットとデメリットを考慮した上で冷静に判断するようにしましょう。
・狭小の家
敷地面積が限られているため、LDKを一列に配置してキッチンとダイニングが並列するような間取りにしています。吹き抜けで天井を高くしているため、明るく開放感たっぷりの空間になっています。家事動線にもこだわり、2階に水回りをまとめて洗濯機から洗濯物を干すまでの動線に工夫を凝らしました。
・2family + 2void
敷地面積が15坪以下という狭小住宅の定義には当てはまりませんが、狭小住宅のように3階建てで設計した家の事例です。幹線道路から近く隣の家とも近いという条件のもとで、生活感を感じさせないような外観を心掛けました。吹き抜けを作ることで採光にも考慮し、外からの視線が気にならないような快適な空間を作りました。施主様のご要望にお応えして、内装はスタイリッシュに仕上げました。
・HI・RA・YA
こちらの事例では、今の生活だけではなく将来を見据えて完全なバリアフリーにこだわった家づくりとなっています。暮らしやすさと安全性を兼ね備えることがコンセプト。南側のテラスから光がLDKを中心に、各部屋や水回りへのアクセスが良いような生活動線になっています。外観は特徴的ながらもバリアフリーを徹底、内装はモノトーンでまとめられており、シンプルで機能的な空間に仕上がりました。