傾斜地に建築するデメリットや注意点、実例を紹介|坂道が多い横浜で家を建てる

坂道に建つ家

坂道が多い横浜市では、傾斜に合わせて住宅を建てる必要があります。

傾斜地の建築は、一般的な土地よりも特殊な工事が必要になったり、建築の難易度が上がったりするため注意必要です。

今回は、傾斜地のメリット・デメリット、法規制などの知っておくべきポイントを解説します。

傾斜地を活かした建築実例も紹介しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

■傾斜地とは

傾斜地に建つモダン住宅

▷建築実例「ガーデンテラスハウス」 

 

傾斜地とは、その名の通り「斜めに傾いている」土地のことを指します。

道路が平坦で敷地だけに傾斜がついている土地もあれば、道路の坂に合わせて傾斜がついている土地もあります。

いずれにせよ、傾斜地にそのまま建物を建てることはできません。

通常の方法で家を建築すると、建物が斜めになってしまい身体に悪影響を及ぼします。

また、傾いた建物は耐震性にも不安がありますからね。

 

そこで、傾きがない家を建てられるように敷地に造成工事を行ったり、特殊な基礎を作ったりする必要があります。

これだけ聞くと「造成地って買わない方が良いのでは‥」と考える方もいますよね。

ただし、傾斜地ならではのメリットもあることを忘れてはいけません。

傾斜地はデメリットに注意して設計を行い、メリットを活かせるような建築を行うことが大切です。

 

■傾斜地に住宅を建築するメリット

坂道にある角地

▷建築実例「海の見える丘の家」

 

傾斜地に住宅を建築するメリットを紹介します。

 

・日当たりや景色が良くなる

傾斜が下がっている方に向かって建物を建築すると、目の前の家よりも高い位置に建てることができます。

住宅が密集していても、前の家と高低差があれば日当たりの良い家になります。

また、前の家が視界に入らなければ、眺望が楽しめる家を建てることも可能です。

傾斜の方向や景色を考えながら、間取りや窓の配置を考えてみてくださいね。

 

・土地の販売価格が割安なケースが多い

傾斜地は、一般的な平地と比べて土地の販売価格が安いケースも少なくありません。

土地代をなるべく抑えたいという方にはおすすめでしょう。

しかし、傾斜地は地盤改良や造成などの工事費用がかかります。

安い傾斜地を購入しても、工事費用が高くなって損をするケースも多いです。

傾斜地を購入する際は、工事費用を明確にしてトータルの価格を比較するようにしてください。

 

・傾斜によっては外からの視界が気になりにくい

傾斜が大きくて建物が道路よりもかなり高くなる場合、外からの目線が気にならない家を建てることができます。

なぜなら、道路を歩く人の目線の先には擁壁や基礎があるため、家の中までは届きにくいからです。

大きな窓を付けた間取りやカーテンを閉めない生活も実現できるでしょう。

 

・地下部分をガレージとして利用できるケースもある

道路と敷地との間の傾斜が大きい場合、地下部分を利用することも可能です。

ただの擁壁にしても良いですが、空間を有効活用してガレージとして活用することもできます。

ガレージがある家

▷建築実例「音楽と暮らしを奏でる家」

 

傾斜を上手く利用して、敷地が無駄なく有効活用できるような方法を選んでくださいね。

 

■傾斜地に住宅を建築するデメリットと注意点

坂道に建つ家

▷建築実例「天空光を核(各)で感じられる家」

 

傾斜地に建築するデメリットを紹介します。

 

・地盤改良が必要になる確率が高まる

大きな傾斜が付いた土地の場合、土を入れて「盛土」を行うケースも多いです。

下の画像のように傾斜地に盛土をすることで、敷地が平坦になって建物を建てることができます。

図解

 

ただし、盛土をした土地は締固めが緩くて地盤強度が弱いケースもあるため、地盤改良になる可能性が高まります。

土地の一部だけ地盤が弱いと、そこから家が傾いてしまいますからね。

元々地盤が固い地域でも、傾斜地の場合は地盤改良になることもあります。

傾斜地に建築する場合は、必ず「地盤改良費」の予算取りを行いましょう。

 

・工事費用が高くなる

傾斜地に土地を建てる場合、平坦の土地の建築よりも工事費用が高くなるケースがほとんどです。

具体的には、次のような費用がかかります。

 

・地盤改良工事費用:地中に杭を入れて地盤を強化させる工事
・造成工事費用:土をせき止める擁壁工事・斜面に土を入れる盛土工事等
・基礎工事費用:傾斜に合わせて基礎を施工する工事

 

必ずすべての費用がかかるわけではありません。

地盤改良工事は、地盤調査の結果によって必要かどうかが決まります。

 

その他の工事は傾斜の角度や高低差などによって内容が変わるため、一概に費用をお伝えすることはできません。

擁壁・盛土工事をして平坦な敷地にするケースもあれば、傾斜に合わせて基礎を施工することもあります。

敷地に合わせて工事の内容や費用が大きく変わるため、土地購入前に住宅会社としっかり造成工事・費用の打合せを行いましょう。

 

・耐震面で不安が残る

傾斜地の建築は耐震面で不安が残ります。

盛土を行うと地盤の締め固めが弱いケースもあるため、地盤を強化するなどの対策が必要です。

また、特殊な基礎工事をする場合、施工実績が多くない住宅会社では適切な耐震性を確保できないかもしれません。

傾斜地に住宅を建てるなら、施工実績のある会社にお願いすることが大切です。

 

さらに、自分達は適切な工事が行っていたとしても、周りの斜面の土砂崩れに巻き込まれる可能性もあります。

災害に関するリスクをしっかり理解してから、建築するか検討しましょう。

 

・雨水が敷地に溜まりやすくなることも

傾斜地の土地では、敷地内に雨水が溜まりやすいケースも少なくありません。

なぜなら、傾斜の上から下へ向かって雨水が流れるため、自分の建物の排水設備が整っていないと雨が滞留してしまうからです。

建物が水の流れをせき止めて、雨水敷地に留めてしまうこともあります。

雨水が問題なく排水できるような計画を行いましょう。

 

■傾斜地に建築するときに知っておくべき制限

ガレージがある傾斜地

▷建築実例「音楽と暮らしを奏でる家」

 

傾斜地に住宅を建築するときに知っておくべき制限を紹介します。

 

・「崖条例」に該当する場合は建築に制限がある

傾斜や敷地の高低差が大きな場合は、崖として扱われることがあります。

敷地が崖に該当すると、「崖条例」に合わせて擁壁を建てるなどの必要があるため注意しましょう。

 

横浜市では次のように定められています。

高さ3メートルを超える崖(一体性を有する1個の傾斜地で、その主要部分の勾配が 30 度を超えるものをいう。以下この条において同じ。)の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合においては、崖の形状若しくは土質又は建築物の規模、構造、配置若しくは用途に応じて、安全上支障がない位置に、規則で定める規模及び構造を有する擁壁又は防土堤を設けなければならない。

参考:横浜市建築基準条例及び解説(一部抜粋)

 

条件によっては除外されるケースもあります。建築予定の土地が該当しそうな場合は、各地域のホームページを確認したり、住宅会社に話を聞いたりして理解しましょう。

 

・「急傾斜地崩壊危険区域」や「土砂災害特別警戒区域」は災害に注意

「急傾斜地崩壊危険区域」や「土砂災害特別警戒区域」に該当するエリアは災害の危険性があり、建築にも制限が加わることもあります。

 

「急傾斜地崩壊危険区域」とは土砂崩れを起こしたときに被害が及ぶ地域のことで、都道府県知事によってエリアが指定されています。

ちなみに横浜市では、急傾斜地崩壊危険区域に該当するエリアは雨水が溜まらないように排水工事をするなどの制限が定められています。

 

崖上に建築物を建築し、又は敷地を造成する場合には、崖崩れを誘発しないよう雨水、汚水の排水が崖面を流下したり、擁壁の裏側又は崖に浸透しないように排水施設を設ける必要があります。

参考:横浜市建築基準条例及び解説(一部抜粋)

 

また、「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域」には土砂災害防止法が適用されます。特に「土砂災害特別警戒区域」は建築に制限がかかりますので確認が必要です。

具体的には、外壁等の部分を鉄筋コンクリート造等にするなどの内容があります。

 

■土砂災害特別警戒区域内の主な規制内容

2 居室を有する建築物の構造規制(建築基準法施行令第 80 条の3)等土砂災害 特別 警戒区域内に居室を有する建築物の新築・増築等を行う場合は、神奈川県知事がその区域において指定する力及び高さに応じて、外壁等の部分を鉄筋コンクリート造等にする必要があります。また、横浜市建築基準条例第3条(崖)が併せてかかる場合があります。

3 宅地建物取引における措置(宅地建物取引業法第 33 条,第 35 条、第 36 条)
特定開発行為の許可を要する場合、宅地建物取引業者は、都道府県知事の許可を受けた後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結が行えず、当該宅地又は建物の売買等にあたり、特定開発行為の許可について重要事項説明を行うことが義務づけられています。なお、土砂災害 特別 警戒区域内の公示前であっても、基礎調査結果について重要事項説明の対象とすることが望ましいとされています。

参考:土砂災害防止法について 横浜市(一部抜粋)

 

該当する区域に建築を行う場合は、役所や住宅会社に必ず相談し、内容をしっかり把握しましょう。

 

・「宅地造成等規制法」の改正後に造成された土地かチェックする

傾斜地に対して擁壁や盛土が造成された後の土地を購入する場合、「宅地造成等規制法」の改正後に造成された土地かチェックすることを忘れてはいけません。

「宅地造成等規制法」は、宅地造成によって崖崩れや土砂の流出などの災害を防ぐために制定された法律です。1961年に制定された法律ですが、2006年に技術的基準の法改正が行われ、「必要な地下水排除工の設置」と「締め固めに係る工法の明確化」の内容が追加されています。

参考:宅地防災:宅地防災とは~宅地造成等規制法について~|国土交通省

 

そのため、2006年より前に造成された土地は、現在の基準をクリアしていない可能性があるということです。

基準を満たしていない土地は、災害時に被害を出す危険性があるため、再度造成工事を行う必要があります。

 

造成が完了している傾斜地を購入する場合は、2006年以降に造成されているか、また基準に合った造成工事が行われているかの確認が必須です。

住宅会社に協力してもらいながら、不動産屋に確認を行いましょう。

 

■【坂が多い横浜に家を建てる】傾斜地の建築実例3選

傾斜地の住宅を建築した実例を紹介します。

 

実例① 傾斜に合わせて基礎の高さを変えた家

急な坂道沿いの家

建物の奥へ行くにつれて傾斜が付いている敷地です。

傾斜の低い部分はガレージとして活用しています。

 

坂に合わせて基礎の高さを調整して施工。

傾斜に基礎の高さを合わせる

ガレージ上に居住空間を作ったため窓の位置が上がり、隣家や道路からの目線を気にせずに暮らせる家が完成しました。

 

▷この建築実例をもっと見る「坂道に建つ家」

 

実例② 傾斜地に盛土をして家を建てた眺望の良い家

ガレージハウス

土地の一部が傾斜地になっていましたが、盛土などの「造成工事」や地中に杭を打つ「地盤改良工事」を行い、平坦な土地になるように工事を行いました。

図解

 

南側には遮るものが無く、素晴らしい景色が見える立地だったので、大きな窓を施工して眺望を楽しめる家に。

眺望が良い家

リビングでは絶景を見ながらゆっくりとくつろぐことができます。

景色が良いリビング

傾斜地への対応をしっかりと行いつつ、敷地のメリットを最大限に活かした事例です。

 

▷この建築実例をもっと見る「眺望を活かした家」

 

実例③ 傾斜地に合わせて建物を建てた家

傾斜地に建つ家

敷地から道路まで7mの高低差がある傾斜地。

道路からフラットに入れるように玄関位置を決めました。

図解

玄関にある階段を下りると、広々としたLDKが広がります。

開放的なLDK

傾斜地の高低差を活かし、開放感のある吹き抜けを作ることができました。

 

玄関脇には、自転車置き場とロフトを採用。

土間収納とロフト

傾斜のある敷地を活かした、遊び心ある多層階の住宅が完成しました。

 

▷この建築実例をもっと見る「傾斜地に建つ家」

 

■まとめ:傾斜地に建築は施工実績が豊富な会社にお願いしよう

傾斜地には平坦な土地には無いようなメリットがありますが、デメリットや建築の際の注意点も多いです。

そのため、住宅を傾斜地に建築する際は、施工実績が豊富な住宅会社にお願いすることをおすすめします。

傾斜地に対する実績が多い会社ならば、より安全性の高い工事を選択したり、費用面を考えて多様な提案をしてくれたりするはずです。

また、基礎の高さを変えたり傾斜に合わせて家を建てたりして、敷地を最大限に活かしてくれるでしょう。

信頼できる住宅会社を探し、傾斜地の魅力を活かせるようなマイホームを建ててくださいね。

 

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