中庭のある住宅とは?中庭にまつわる失敗例も
家の中に光が差し込む中庭のある住宅は魅力的ですよね。昔から京都の町家などで取り入れられていた中庭ですが、近年では隣家との距離が近い都心部で特に人気が高まっています。外の視線を感じることなく子供やペットを遊ばせられるなどさまざまなメリットがある一方で、デメリットがあるのではないかと心配している人もいるのではないでしょうか。中庭を作る際にはメリットとデメリット、中庭にまつわる失敗例を知った上で検討すると不安なく家を作ることができることでしょう。
◼ 中庭のある住宅の特徴
中庭とは家の内部に設けられた庭のことであり、家の外壁で囲われている状態のことをいいます。中庭のある住宅は「コートハウス」と呼ばれることもあり、外の空間でありながらプライバシーも守れる点が特徴です。風通しや日当たりを確保するために中庭が採用されることが多いですが、デザイン性からも人気があります。中庭のある家では家の中と外の空間につながりがあるため、家の中にいながら緑を楽しんだり外の空気を味わったりすることができます。中庭があることで心に余裕ができ、生活を豊かにすることができることでしょう。
中庭のある住宅は、それぞれ真上から見たときの形からコの字型とロの字型、L字型と分かれています。コの字型は中庭の3面が家に囲まれていますが、1面は外部と面しています。中庭が完全に囲まれているわけではないため、外からの視線を遮りながらも開放感のあるつくりです。ロの字型は中庭の4面全てが家に囲まれており、外から入ることはできない形状です。外からの視線を完全に遮り、プライベートな中庭にすることができます。中庭を挟んで向かい側にある部屋に行くためには、家の中からぐるりと回って移動するか中庭を通って移動することになります。家の形をLの字の形にし、2面の壁で中庭を囲む形状のことをL字型といいます。コの字型やロの字型と比べて家の形がシンプルなので、間取りを柔軟に設計することができます。プライベート感は低いですが、開放感のある中庭になります。
◼ 中庭を作るメリット
風通しや日当たりといった機能面はもちろん、外にプライベート空間を作ることができるという点で中庭を魅力に感じている人も多いかもしれません。中庭を作ることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
・都心部でも開放感を味わえる
都心部の住宅街や市街地では隣の家との距離が近いことが多いため、洗濯物を外に干しづらかったり、窓を開けっ放しにしづらかったりするという悩みをよく耳にします。常に外の視線を意識して生活するのは息苦しいですよね。そんなときに家に中庭があると都心部でも開放感を味わえる家になります。中庭に洗濯物を干せば外の視線を気にする必要もなく、中庭に面した窓であれば気軽に窓を開けっ放しにすることもできます。
・プライバシーの確保
お庭にどのような要素を求めるかは人それぞれですが、例えば子供をお庭で遊ばせたい、リビングからお庭につながる空間がほしい、家の中から身近に緑を感じたい、などが考えられます。前の項目でご紹介した通り、特に都心部では隣の家との距離が近いことからそのようなお庭を作るのが難しい場合もあります。そういったときにプライバシーを確保しながらお庭で楽しむことができるのが中庭のメリットです。
・家の中が明るくなる
形状によって家と中庭が面している部屋の数は異なりますが、中庭から光が差すことで家の中が明るくなります。北側に面する部屋や隣の家の影になってしまう部屋では、日中でも照明を使わなければ暗いということも。中庭のある住宅では、多くの部屋に光を取り入れることができる点もメリットだといえます。家の中が明るいと気分も晴れるため、家族との関係性も良好に保てるかもしれません。
・風の通り道が生まれる
機能面でのメリットとして、日当たりともう一つ、風通しが良くなることがあげられます。気候が良い季節には窓を開けっ放しにして空気の循環をさせたいと思う人も多いかもしれません。気軽に窓を開けにくい都心部であっても、中庭のある住宅では家の中に新鮮な空気を取り入れやすい特徴があります。外に面した窓を開けっ放しにするのは防犯面で気になるという場合も、中庭の窓であれば防犯面でも安心です。
◼ 中庭を作るデメリット
都市部で家を建てる場合、中庭を作ることにはたくさんのメリットがあることをご紹介しました。しかしデメリットがあることも忘れてはなりません。メリットとデメリットのどちらも考慮した上で中庭のある住宅を作るかどうかを検討してみてくださいね。
・居住面積が狭くなる
都心部では周囲の視線が気になるという点を克服するために中庭が有効であることをご紹介しました。しかし都心部ではそれだけではなく広い土地を手に入れにくいですよね。中庭を作るとさまざまなメリットがある一方で、居住面積が狭くなることを頭に入れておく必要があります。敷地が狭い上に中庭を作ると、部屋の数が少なくなったり家の中での動線が悪くなってしまったりすることも。部屋の数や面積、動線に支障が出ないかどうかを明確にイメージした上で中庭の設置を検討するようにしましょう。
・費用の高さ
中庭は家の外壁に2~4面を囲まれている空間のことをいいますが、複雑な形状になればなるほど費用が高くなってしまいます。一般的に外壁の面積や角が多いと費用が高くなる傾向がありますが、必要な材料が増えるだけではなく角の処理といった手間もかかるためです。日当たりの良さを確保するために設ける窓や外構工事、排水設備など、充実した中庭を作ろうと思えば費用はどんどん高くなります。
新築時の費用も高くなることがありますが、メンテナンス時にも費用が高くなってしまうかもしれません。外壁の面が多いことがその理由ですが、他にも窓のお手入れや中庭の排水設備など、中庭がない家では必要ないメンテナンスを行わなければなりません。理想的な家にしたい気持ちはもちろん大切ですが、費用面や実用性も考慮した上でプランを考えるようにしましょう。
・断熱性の低さ
中庭のある住宅では、日当たりを確保するために窓の数が多い傾向があります。窓が多いと外気の影響を受けやすいため断熱性が低くなってしまいがちです。設計の段階から断熱性に関する打ち合わせはしっかり行うようにしましょう。断熱性を上げるためには、断熱効果の高いサッシやペアガラスなどを採用したり、床や壁などに断熱材を使用したりすることで対策できます。その分費用が高くなることを考慮した上で、断熱性とのバランスを考えてみてください。
◼ 中庭にまつわる失敗例
注文住宅でこだわって中庭を作った場合でも、いざ住み始めると失敗だったとした感じる例もあります。住み始めてからしか分からないこともありますが、できる限り後悔を少なくするためにも失敗例を参考にしてみてください。
・中庭を作れなかった
中庭を作った上での失敗例ではなく中庭にまつわる失敗例としてですが、土地によっては中庭を作ることができないケースもあります。土地選びには敷地面積やエリア、利便性などさまざまな条件が合う必要がありますが、ようやく手に入れた土地で中庭を作れないということになっては困りますよね。土地の広さが足りなかったり、土地の形状が複雑であったり、中庭を作ったとしてもメリットを活かすことができなかったり、さまざまな理由が考えられます。そのため土地を購入する前に中庭を作れるかどうかを確認するようにしましょう。エリアや利便性、希望する間取り、早めに優先順位を定めることも大切です。
・湿気がこもりやすい
中庭の作り方によっては、水はけが悪く湿気がこもりやすくなってしまうことも。湿気がこもりやすいと虫が発生しやすくなってしまいます。特にロの字型の家では中庭の4面全てを外壁が囲んでいるため、排水設備を整えるなど注意が必要です。見落としがちな換気対策にも気を配って設計を進めるようにしましょう。
・家事の動線が悪い
中庭のある住宅の中でも形状によって条件は異なりますが、家事の動線が悪くなってしまうことも考えられます。家の中を移動するときに中庭を通るとショートカットできると想像していたとしても、実際には雨の日には中庭を通ることはできず、家事動線が長くなってしまったという失敗例があります。デザイン性重視で中庭の緑を眺めるだけで良いという場合は問題ありませんが、動線が悪いことがデメリットに感じられそうな場合は注意が必要です。
◼ まとめ
都心部では隣の家との距離が近いことが多いため、窓を開けっ放しにしたり洗濯物を外に干したりしにくいと感じられることでしょう。中庭のある住宅では、周囲の視線を気にすることなく中庭に面した窓を開けたり中庭に洗濯物を干したりすることができます。他にも風通しが良くなることや開放感があること、プライバシーを確保できることが中庭のメリットとしてあげられます。その一方で、中庭を作ることで居住面積が狭くなってしまうこと、建築費用やメンテナンス費用が高くなってしまうこと、断熱性が低くなることがデメリット。デザイン性の高さや機能面で中庭を魅力に感じている人も多いかもしれませんが、メリットとデメリットのどちらも考慮した上で導入を検討するようにしましょう。
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